岐阜市珈琲(コーヒー)マップ
静かな空間で静かに佇むお客様たち。 仕事や家事の合間に、ゆったりくつろげる落ち着いたお店。
PROFILE(プロフィール)
・今のお店に店長として働き任されていたが、前のオーナーにやらせて欲しいと提案し
5年前に独立。ほぼ同じしつらえのままお店を引き継いだが、焙煎機を新たに導入した。
“珈琲”が天職になってしまったきっかけは?
きっかけは珈琲が好きだったことです。
――実はお酒飲めないんですよ。物理的に受け付けない。そうすると友人が少なくなります(笑) お酒があれば友人も増えますが、珈琲は友達になれるツールではないです。個人的に珈琲を追求し、興味を深めていきました。
珈琲をたしなみ始めたのは高校の頃。最初はインスタントから始まり、自分で淹れ始めるがどうも物足りない。ちょうどエスプレッソが流行った時期で、気が付けばエスプレッソマシーンがある飲食店で働き始めていました。
ところが、そのお店は単に演出としてエスプレッソマシーンを置いていた為、珈琲を学びたくなるにつれ自然と珈琲専門店で働きたくなりました。
そこで自家焙煎の珈琲専門店に職を求め、働くことになりました。
どんなお仕事ぶりだったのですか?
店長をやらせていただきましたので、お店のあらゆることを学ぶことが出来ました。あと、バリスタ※の大会に出たことも印象に残っています。練習して大会に出場することを契機に、技術的なこともさることながら、プレゼン力を磨くことが出来ました。
「どうおいしいか」を伝える表現力を鍛えたことは、その後の仕事に役立っています。若い頃から「飲食店でいずれ独立したい」という考えでしたので、自家焙煎の珈琲専門店の後、ケーキ屋に勤めて学び、今のお店に勤めて、前オーナーに頼んで5年前にお店を引き継いで独立しました。
岐阜市内の出身だったので迷うことなくこの地での独立です。
※バリスタ:カウンターに立ち、客からの注文を受けてエスプレッソをはじめとするコーヒーを淹れる職業、およびその職業についている人物をいう。
お店として「珈琲」のどんなところに、こだわっていますか?
個性よりも、“誰が飲んでも美味しい”ことにこだわっています。そしてプラスαで本当の珈琲マニアの方向けのものも用意しています。
“誰が飲んでも美味しい”を確立する為には、まず第一に「甘味」が大切で、次に「アフターフレーバー」が重要。あとちょっと「アクセント」を加える・・・そんなイメージで珈琲の味づくりをやっています。起き抜けの朝のほうが余韻が拡がったり、1日の疲れが出る夜はパンチがある深い珈琲のほうが気分に向いていたり、と時間帯や天候なども配慮した珈琲づくりを意識しています。
珈琲以外で気にして、こだわっていることはありますか?
私、人間観察が好きなんです。カウンター近くに立ってお客様を観察する日々。
「お客様がストレスを抱えない」接客をしたいから人間観察をしています。
お客様によっては頼めば珈琲はすぐ出てくるもの!とせっかちになりがちな方もいらっしゃいます。そんなときに仮に少しお待たせすることになっても、気持ちよくお待ちいただけるように接客させていただく―――そんなことにこだわっています。
あと、お客様との程よい距離感を保つようにしています。とかく常連のお客様と距離感が近くなりがちなのが店商売につきものですが、そうすると初めてのお客様が入りづらくなります。常連のお客様と初めてのお客様の差を無くしたい、それには程よい距離感が大切なのではないかと考えています。
その結果か分かりませんが、うちの店は“静かな”お客様が多く、皆さん“静かに”めいめいくつろいでいらっしゃる方が多いです。
象徴的なのは、畑仕事を終えた後、わざわざお家で着替えてからくつろぎにお越しくださる方がいらっしゃいます。そんなくつろぎ方が豆屋珈琲店の特長だと思います。
岐阜ってなぜ珈琲や喫茶文化が盛んなのですか?
そもそも岐阜は和洋中すべて食文化の質が高いと思います。外食文化が盛んなので、お客様の舌が肥えているようです。喫茶は、かつては珈琲というよりはモーニングが主役でした。ところが珈琲工房ひぐちさんが珈琲に力を入れ始めてから、珈琲の位置づけが地域の中で上がってきたと思います。いい加減な珈琲は出せない、という雰囲気になってきたのも珈琲の質が上がるきっかけになったのではないでしょうか。
岐阜は人口が少なく外食が多いということは、支持されないお店は続かないということです。1年持たないお店が結構ありますよ。
そういったことを含め、今ある岐阜の珈琲専門店や喫茶店は質が高くて魅力的なお店が多いのだと思います。
SHOP INFORMATION
■東愛知日産自動車オリジナル取材・書き下ろし supported by まいぷれ岐阜(監修:岐阜県珈琲文化研究会)