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エベレスト3D

地上で最も危険な場所へ

2015年11月6日(金)TOHOシネマズ 日劇ほか全国公開<br>(c) Universal Pictures
2015年11月6日(金)TOHOシネマズ 日劇ほか全国公開
(c) Universal Pictures
エベレスト3D

監督:バルタザール・コルマウクル(「ザ・ディープ」、「7デイズ」、「ハード・ラッシュ」)
出演:ジェイソン・クラーク(「ターミネーター:新起動/ジェニシス」)、ジョシュ・ブローリン(「ミルク」)、ジョン・ホークス(「ウィンターズ・ボーン」)、ロビン・ライト(「ハウス・オブ・カード」)、エミリー・ワトソン(「奇跡の海」)、キーラ・ナイトレイ(「イミテーション・ゲーム」)、サム・ワーシントン(「アバター」)、ジェイク・ギレンホール(「ナイトクローラー」)、森尚子(「ヒロシマ」)など
【ストーリー】
ヒマラヤ山脈に位置する世界最高峰、エベレスト。1953年に初登頂がなされて以来、世界中の登山家を魅了し続けるその山は、同時に地球上で最も生きるのが難しい場所でもある。標高8,848mの山頂では風速は時速320㎞を超え、気温は零下26℃まで低下、気圧は地上の1/3。酸素の供給を受けずに長時間留まれば、肉体と意識の両方の機能は停止。まさに死の領域<デス・ゾーン>―。

世界最高峰エベレスト登頂ツアーの参加者たちは、日本人登山家を含め数々の山を踏破してきたベテラン達だった。ついにやって来た頂上アタックの日、固定ロープの不備や参加者の体調不良などでスケジュールが狂い、下山が大幅に遅れてしまう。さらに未曾有の嵐の接近で急激に天候が悪化。人間が生存できないとされる死の領域<デス・ゾーン>で散り散りになる登山家たち。ブリザードと酸欠との過酷を極めた状況の中で試されるものとはー?
【みどころ】
なんといっても映像の迫力と美しさ。
実際にその現場にいなくても、自分も登山隊と一緒になってエベレストを体験している錯覚に陥った。最初はこれから死の領域に向かうメンバーとは思えないほどリラックスしている人たちが、ひとたび山に足を踏み入れた瞬間から過酷な現実に直面する姿が克明に描かれていて緊張感がどんどん高まっていった。

これは1996年に実際に起きた実話を基にした物語で、ニュージーランドで登山ガイド会社を営むロブ・ホール(ジェイソン・クラーク)の率いる登頂ツアーがネパールに到着したところから始まる。エベレストのベースキャンプで約1か月間入念な準備を整えた後、標高8848メートルの山頂を目指すが、途中で様々な予期せぬ出来事が続いたことで、本来なら午後2時を過ぎたら下山しなければならないのにその時間をとうに過ぎてしまう。夕刻近くになってブリザードが一行を遅い、猛吹雪と暗闇の中で方向を失って立ち往生する人たち…。しかも、頂上付近には取り残された人たちがまだ何人もいた。

私も富士山に登ったことがあるが、高山病になって頭痛と吐き気に襲われ、直射日光で両手がケロイド状になったことがある。登るときも下山するときも苦しい思い出しかない。もちろんエベレストはその比ではないが、なぜ人はそこまでして登りたいのか? 作品中にジャーナリストから同じ質問をインタビューされた登山家たちがその答えに窮して、「そこに山があるから」と答えていたけれど、私には「なぜそこまでして…?」という疑問しか出てこない。きっとこれは登山家でなければわからないのだろう。

今やビジネスと化した商業登山ツアー。
過去においてプロの登山家が命を懸けて自分の限界に挑戦したエベレストも今ではお金さえ払えば登れる山になっている。たくさんの素人が押し寄せた結果、大渋滞が起き、特に難所では何時間も待たされることになり、今回の事件のようにタイムリミットを過ぎてしまうケースが後を絶たない。2014年、16人のシェルパが雪崩によって命を落としたことはまだ記憶に新しい。この作品はそのような風潮に対して警鐘を鳴らしているように思う。

TEXT by YUMI