百日紅 ～Miss HOKUSAI～

原作：杉浦日向子
監督：原恵一
脚本：丸尾みほ
キャラクターデザイン：板津匡覧
主題歌：椎名林檎
キャスト：杏　松重豊　濱田岳　高良健吾

【作品解説】
喜怒哀楽あふれる時を駆け巡る、〈爽快〉浮世エンターテインメント！
杏×椎名林檎×原恵一のタッグで時代を超えて紡がれる傑作！第３９回アヌシー国際アニメーション映画祭、長編部門審査員賞受賞。第１９回ファンタジア国際映画祭にて３冠〈今敏賞（長編アニメーション優秀賞）、セカンス賞アジア映画優秀賞、長編アニメーション観客賞〉受賞！

【ストーリー】
浮世絵師・お栄は、父であり師匠でもある葛飾北斎とともに絵を描いて暮らしている。雑然とした家に集う善次郎や国直と騒いだり、犬と寝転んだり、離れて暮らす妹・お猶と出かけたりしながら絵師としての人生を謳歌している。今日も江戸は、両国橋や吉原、火事、妖怪騒ぎ、など喜怒哀楽に満ちあふれている。恋に不器用なお栄は、絵に色気がないと言われ落ちこむが、絵を描くことはあきらめない。そして、百日紅が咲く季節が再びやってくる、嵐の予感とともに……。

【見どころ】
江戸の街に生きたお栄は、葛飾北斎の娘。『クレヨンしんちゃん』シリーズなどで知られる原恵一監督を迎え、お栄と北斎の親子ふたりを軸に、江戸での日常を描いた。

作品全体でひとつの軸があるというよりは、いくつかの出来事によって江戸での生活を鑑賞できる作品となっている。天才浮世絵師・葛飾北斎とその娘で浮世絵師のお栄。その妹で目の見えない、お猶。そこに居候でこれまた浮世絵師の善次郎などが絡み、お栄を主人公に淡々と物語が進んでいく。

超ドラマチックな展開などはなく、江戸時代の日常的な雰囲気や出来事をじっくりと楽しむことができる。国外での非常に高い評価は、この作品中に漂っている「日常感」によるものかもしれない。

怪談的なファンタジー要素もあり、そこまで厳格な時代劇作品というわけではなく、また話される言葉もほとんど現代語で取っ付きにくさはない。本編時間が９０分と、時代劇アニメーションを手軽に見るにはちょうどいい作品かもしれない。

江戸の舞台をアニメーションで描いた本作品。江戸の日常や浮世絵に興味がある方は、ぜひ。

Text by EISUKE