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Cute Movies

イット・フォローズ

それは、ずっとずっと、憑いてくる…

イット フォローズ

監督/脚本:デヴィッド・ロバート・ミッチェル
撮影:マイケル・ジオラキス
編集:ジェリオC・ペレッツ4世
音楽:リチャード・ヴリーランド
美術:マイケル T・ペリー
キャスト:マイカ・モンロー キーア・ギルクリスト ダニエル・ゾヴァット ジェイク・ウィアリー オリヴィア・ルカルディ リリー・セーペ

ストーリー

ある少女が恐怖におののきながら逃げ回っている。周囲の人からは一体何に怯えているのか分からない。少女は車に乗り込み、不安の表情で海岸まで走らせる。夜の海岸で両親に電話をする少女。泣きながら何かを後悔している。車のライトはつけたまま、相変わらず何かに怯えている。夜が明けると少女は無残な姿で死んでいた。
ジェイ(マイカ・モンロー)は好意を寄せる男の子ヒュー(ジェイク・ウィアリー)とデートをし、映画館の行列で暇つぶしに「誰になり替わりたいかゲーム」をしている。お互い周囲にいる人の誰になり替わりたいかを当てる他愛のないゲームだ。ヒューが当てる番になり、劇場の入り口に立っている黄色い服の女性を指さしていると言うのだが、ジェイにはそこに誰がいるのか全く見えなかった。途端にヒューは具合が悪くなったと映画館から出てしまう。ジェイはそんなヒューを不思議に思うも、遂に一夜をともにすることに。しかし、事が終わるとヒューが突然、睡眠薬を染み込ませた布でジェイを気絶させる。
意識を取り戻したジェイは廃墟にいた。下着のまま、イスに手脚を縛り付けられた姿で。ヒューはそこでジェイに話し始める。「あるモノがつけてくる。俺が感染した“それ”をさっき車の中で君にうつした。“それ”は時には知人に、時にはまったく知らない人に姿を変える。いろんな人間に見えるが、実態は1つだ。今から起きることをよく見ているんだ。」その直後、遠くから裸の女性がゆっくりと近づいてくるのが見える。ジェイは“それ”に殺される前に誰かにうつせ、と命令され、家の前に置き去りにされる。
その日からジェイだけに“それ”が見えるようになる。あるときは学校の廊下に老婆の姿で現れ、またある時は家の中に見たこともない大男の姿で現れ、またあるときは友人の姿で現れ、ゆっくりと近づいてくる。限りなく人間に近い姿で一直線に歩いて迫ってくる“それ”は近くにくるまで識別できない。
“それ”はゆっくりと歩いてくる。“それ”は人にうつすことができる。“それ”はうつされた者にだけにだけしか見えない。“それ”は様々な人間の姿になり変わる。 “それ”はうつした相手が死んだら自分に戻ってくる。そして、“それ”に捕まったら必ず死が待っている。
果たしてジェイは、いつ、どこで現れるか分からない“それ”の恐怖から逃げきることができるのかー。

見どころ

全米でたった4館での上映から始まり、口コミにより上映館が1600館まで広がったという『イット フォローズ』。ホラー映画界の巨匠・タランティーノ監督が絶賛したという本作品は、多くの人にトラウマを遺すホラー作品となった。

“それ”は感染した人にしか見えず、“それ”はゆっくりと迫ってくる。この作品内では主人公が逃げ回る理由を家族や友人が理解してくれない。しかし、“それ”に捕まると死んでしまう。場所を問わずに現れる“それ”の恐怖におびえ続ける100分だ。“それ”が迫ってくる様はトラウマ必至で、私は本作品を観た帰り道に何度も周囲を見回したり、ゆっくり歩いている人にビクビクしたりしてしまった。

そして“それ”の伝染経路が何かを暗示しているようにも思える。思春期に漠然と感じる恐怖を本作品の“それ”とリンクさせたことにより、本作品がただのホラーではなく青春劇でもあるように思えた。海外の辛口批評家サイト「Rotten Tomatoes」で脅威の96%フレッシュ(絶賛)をキープし続けているのは、ただこの作品の怖さのせいだけではなさそうだ。

そしてラスト、私たちに絶望的な不安を植え付けて作品はエンドロールに入る。新年早々ホラーを観たいと思ったあなたは、しばらくの間“それ”の恐怖に耐えながら生活することを覚悟した上でご鑑賞を。

Text by EISUKE