岐阜市珈琲(コーヒー)マップ
YAJIMA COFFEE (ヤジマコーヒー)矢島 明さん
自身の限界をサラリと独白できる率直な誠実さが、YAJIMA COFFEのファンが愛してやまない“やわらかい味”のルーツ。
PROFILE(プロフィール)
・岐阜市民なら誰でも羨む2大名所「金華山」と「長良川」を目の前にした“絶景カフェ”「YAJIMA COFFEE」のマスター・店主。焼き菓子・ケーキ作り担当の奥様と二人で切り盛り。
“珈琲”が天職になってしまったきっかけは?
10代後半から珈琲が好きだったんです。きっかけは覚えてませんが、気が付いたら珈琲が好きでした。
就職したのが広告業界で、グラフィックデザイナーの仕事。お客様の商品を売る為の広告やポスターをデザインする仕事です。
仕事は好きでした。広告業界は結構激務で、朝まで仕事することはザラ。でもデザインすることは楽しく、そんな生活が当たり前の日々でした。
ところが、早い時間からアフターファイブに繰り出している友人知人の生活ぶりを見るにつけ、結構ギャップあるな~、と凹むことも・・・
周囲は普通にオフタイムを楽しんでいるのに、俺、これでいいのかなぁ~!?と
ちょっと考え始めました。
自身の働き方・生き方も、このままだと限界を迎えるかもしれない。どうしようか。
そんな頃に妻と出会いました。
素敵な伴侶に出会い、どうせなら公私ともに自身のペースで充実しつつ、人から感謝されることはできないか!?サラリーマン生活を卒業し、ゼロから何か始められないかな!?・・・・・・そうだ、珈琲は妻ともどもライフワークじゃないか!と気づきました。
後先考えず、自然とこの世界に身を投じていました(笑)
なぜ岐阜にお店を構えたんですか?
ここは僕の小学校の学区なんです。サラリーマン時代は名古屋で働きましたが、お店をやるなら、「金華山」と「長良川温泉」という岐阜の魅力ツートップのふもとにある生れ育った地元で開店したいと自然と思いました。
岐阜って、旧いものを壊して新しいことを追求するのではなく、昔のものを今の時代でもどうやって大切にしようか、という気風の街です。僕自身の性格にフィットしています。街の人たちとの距離感が絶妙に近いところも、このエリアの魅力です。温かい人々が多いと思います。
お店として「珈琲」のどんなところに、こだわっていますか?
「自家焙煎」を選んだ理由とも重なりますが、生豆を選び、状態を見るところから始まり、抽出してお客様が飲む瞬間までの全てを自分で作ることにこだわっています。大きなお店だと焙煎担当、ドリップする担当、接客担当など分担制です。
うちは私と妻の二人だけ。全てに関わります。
お客様が珈琲を残して帰られたら、何がいけなかったんだろう!?と振返り、改善を試みます。分担制じゃないから「ダイレクトに責任が取れる」ことがこだわりであり、私自身の楽しみでもあります。
矢島さんの「珈琲」はどんな個性なんでしょうか?
うちのお店には珈琲にこだわりがあるお客様もいれば、特別こだわりもなくフラッといらっしゃるご近所の方もいます。そんなお店なので、なるべく色んな方が満足できる味づくりを心掛けています。
でも実際のところ、珈琲にはこだわって“ベース”を作っているのが自負でもあります。皆さんにひろく満足いただけそうな“ベースの味”を作り、毎日試飲しながら、いかに同じ味を維持できるか調整しています。
珈琲に詳しいお客様ばかりでなく、「ホット頂戴!」という近所のおじいさんも常連です。焙煎は「中深煎り」とスタンダードをベースにし、誰にでも受け入れられる味を基礎にしています。その左右に「浅煎り」と「深煎り」を用意し、個性を広げています。「中深煎り」に適した「半熱風の焙煎機」でやっています。
僕の珈琲の個性ですか―――。僕が淹れる珈琲は「やわらかい味」と皆さんに言われます。僕はただ美味しい珈琲を淹れようとしているだけですが、結果として「やわらかい味」になるんだそうです。角が取れて丸いというか、酸味が効いた珈琲でも飲みやすいというか・・・理由は分かりません(笑)
珈琲以外で気にして、こだわってることはありますか?
店の雰囲気です。珈琲が美味しくなるのは、どんな気持ちで飲むかに左右されると思います。当たり前のことですけど、お客様に「挨拶をする」「目を見てお話する」といったことは自分でできる努力です。普通に接客をきちんとして、美味しく飲んでいただくことを大切にしています。
一押しメニューを教えてください。
オリジナルブレンドがお店の顔で、一押しです。
そういえば、かつて喫茶店で働いていた頃「エチオピア」にハマった時期があります。エチオピアはどこの店にも大概ある豆ですが、色々飲み比べる中で「果物を齧って、その後コーヒーを飲み干した後味のイメージ」がしてエチオピアを好んで飲んだ時期がありました。懐かしいですね。最近は「ホンジュラス」がマイブームですけど(笑)
岐阜ってなぜ珈琲や喫茶文化が盛んなのですか?
岐阜の自家焙煎珈琲屋さんはどこも美味しいと思います。
それぞれ“芯”があると思います。東京と違い、地域の人口が少ないので、珈琲屋として生きていく為には、努力して少ない地域の人数からチョイスされなければならない、という切迫感もあるかもしれません。
あとは地域の珈琲屋さんの密度もあるかもしれません。密過ぎず離れすぎず、適度に珈琲屋さんや喫茶店が点在しています。歩きではなく車2~3分で珈琲屋巡りができる(歩きだとちょっと遠い)くらいの数のお店が点在しているのが岐阜の良さかなぁ。
SHOP INFORMATION
■東愛知日産自動車オリジナル取材・書き下ろし supported by まいぷれ岐阜(監修:岐阜県珈琲文化研究会)