舞台はヨーロッパの前線基地「兎離洲（ウリス）」。
人々が平和を実感するためには、常にどこかで戦争が起きていて命を落とす人間が存在していなければならない。ショーとしての戦争である。

ロストック社は戦争を提供している「戦争請負会社」で、草薙水素（クサナギスイト）はロストック社・兎離洲基地の女性司令官。そして、函南優一（カンナミユーイチ）は兎離洲基地に赴任してきた新任パイロットだ。
ここのパイロットたちは「キルドレ」と呼ばれ、思春期のまま年をとらず、空での戦いで死なない限りは永遠の命を行き続ける。キルドレは戦争のために生まれてきて、戦争のためだけに存在し、戦争以外では死ぬことがない。
また、戦士したキルドレの後任として赴任してくるキルドレは、不思議なことに死んでしまったキルドレとどこかが似ている。顔も声も違うのだが、必ず同じクセを持ったキルドレがやってくるのだ。

そして、ロストック社と戦うラウテルン社には、かつてロストック社に所属していたエースパイロット・ティーチャーがいる。ティーチャーは決して終わらせてはいけない戦争のため、キルドレが決して勝つことができない存在として敵方に送り込まれた大人の男。ティーチャーに戦いを挑み、勝利をおさめたキルドレは、いまだかつてただ１人も存在しないのだ。

スイトの部屋にあるオルゴールは同じメロディを何度も何度も繰り返す。まるでキルドレたちを象徴するかのように…。終わることのない戦い、死んだはずの仲間と同じクセを持つ仲間が繰り返し、繰り返しやってくる日々。そんな毎日に虚しさを感じるスイトだったが、ユーイチの存在が少しずつスイトの心を変えていく。

それでも……昨日と今日は違う。今日と明日もきっと違うだろう。
いつも通る道でも、違うところを踏んで歩くことができる。
いつも通る道だからって、景色は同じじゃない。
それだけではいけないのか、それだけの事だからいけないのか。

ユーイチは思い悩んだ後、ひとつの決心をする。
ユーイチは大好きな真っ青な空で、ティーチャーとの戦いに挑んだのだ・・・。

現代の若者たちに伝えたいメッセージを押井監督がこの映画を通して伝えている。

“今、この瞬間”を大切に生きることを感じて欲しい作品だ。
text by...  dariyo

2008/07/04